館長ノート

「山口晃展」「澱エンナーレ」と「絵解き+サイン会」

先週末からいよいよ「山口晃展」が始まりました。山口晃さんは、昨年、新潟県立万代島美術館「ジパング展」でその作品が展示され、新潟日報に連載中の五木寛之氏の小説『親鸞』の挿絵を描かれるなど、新潟の皆さんにも既におなじみの存在かと思います。

まるで絵巻物の一場面のように、上から俯瞰した構図のなかにひとびとが働くさまや生活のひとこまが描かれているのですが、そこでは過去と現在が、伝統的な表現スタイルと現代の感性が不思議な混淆のなかにあるのです。山口さんの作品を観ることは異空間を旅するようなとても新鮮な体験で、思わずその世界を読みふけってしまうのです。

しかも今回は、そうした山口ワールドに加え、「澱(オリ)エンナーレ」と称して、近代以降の西洋美術の考え方が伝統的な日本美術といかに違うかを主題にした作品群を発表しています。ユーモアを交え、ときに強烈な風刺を利かせた作品は、いかにも山口さんらしい批評精神にあふれています。美術館独特の設備や備品をテーマにした新作は、現場での制作という格好になったので、スタッフも含めて毎晩遅くまでの作業となりました。

展覧会初日には、「絵解(えと)き+サイン会」を開催。山口さんは壁に貼られた紙に墨で軽妙な筆致で描いていきます。その題材となった新潟の名所、名物をお客さまに当ててもらうという趣向。意外と難しく、難航しましたが、思いがけない種明かしに会場は爆笑の渦。楽しいひとときとなりました。そのあとのサイン会も山口さんは握手をしたり、記念撮影に付きあったりと、サービス満点。お疲れのところ、ありがとうございました。このとき制作した「絵解き」3点は、来週8月6日(火)から展示の予定。乞うご期待!!

山口晃さんと記念撮影