新潟市美術館ブログ

リアルって何だろう?―「リアル(写実)のゆくえ 現代の作家たち 生きること、写すこと」開催中です。

本格的に寒さを感じる季節になりました。西大畑公園も雪化粧ですっかり冬のよそおいに…。そんな中新潟市美術館では、「リアル(写実)のゆくえ」展を開催しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

26作家による約120点もの“ホンモノ”そっくり…!にとどまらない作品を紹介し、明治から現代美術に至るまでの日本の写実表現を辿る本展。それぞれの作品に使われている素材や表現に目を向けてみると、作家のこだわりが見えてきます。

 

 

 

 

 

例えば、展示室入り口の《盈虚(えいきょ)―鐵自在イグアナ―》や羽を広げている姿が印象的な《澄―川鵜―》などを制作した本郷真也。彼は、鉄の錆びていく性質に生き物の「時を経て絶えず変化していく」様を重ね合わせ、鉄を用いて生き物の本質を表現しようと試みています。一つ一つの関節や羽に至るまで本物と同じ構造や形になっていて、実際に動かすことができるようになっています。《盈虚―鐵自在イグアナ―》は土日祝の13:00~16:00限定で、少しだけ動く様子が見られます。まるで生きているかのような、生々しい動きにご注目ください。

また、鉄瓶が並んでいるように見える若宮隆志の《鉄瓶―鉄錆塗―》は漆によってつくられた作品です。鉄瓶の蓋の裏には螺鈿が仕込まれており、漆器ならではの美しさが感じられます。鉄瓶が徐々に朽ちていく様子を表していて、最後の瓶の中にはとある虫が潜んでいます…!探してみてくださいね。

 

 

 

 

 

 

 

 

絵画作品にも作家それぞれの工夫がみられます。深堀隆介による《桜升 命名 淡紅》などは、一見すると立体作品のようですが、実は透明樹脂を一層ずつ流し込みながらアクリル絵具で描き重ねられた2.5Dの絵画作品なのです。金魚を題材にした理由や実際に制作を行っている姿を、会場内で上映の作家インタビュー映像にて紹介しています。合わせてお楽しみください。

 

 

 

 

 

 

 

 

ほかにも幕末から明治初めに流行した生人形(部分)や、日本で写実的な表現を確立した高橋由一の油彩画や高村光雲の彫刻作品も展示しています。

見どころ満載の本展は1月29日(日)まで。年末は12月25日(日)まで、年明けは1月4日(水)より開館です。年末年始に家族や友人、あるいは自分自身と、作品を見ながら「リアル」って何だろう?と話してみてはいかがでしょう。

そして12月24日には、当館学芸員による美術講座「『リアル』の来し方―江戸の写実表現」を開催します。展示作品以前の時代の日本の「リアル」な表現について深められるかもしれません。ご関心のある方はこちらもぜひ。

皆様のご来館、お待ちしております!

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