館長ノート

コレクション展もお忘れなく!!

新潟市美術館はいつも何か面白いことが起こっている,アクティヴな「生きている美術館」でありたいと考えています。

靉嘔展が始まってから,7月28日に靉嘔さんによる「自由について」という講演会-実は,壁といわず,床といわず,自由という文字をチョークで書き続けるという奇想天外なパフォーマンスでした-がありました。自由の文字はまだエントランスあたりに残っていますし,その時の映像は展覧会場でも流しています。

また,8月12日には新潟市出身の若手作家,冨井大裕さんによるワークショップがありました。新聞紙やテープなど,どこにでもある素材を使って,新潟市美術館のコレクションの中で気に入った作品を自分流の解釈でつくってみるというもの。参加者の皆さん,とても楽しんでつくられていましたが,出来上がったものはどれも傑作ぞろい。8月19日までの1週間だけですが,市民ギャラリーに展示されています。何となく,「生きている美術館」っぽくなってきたかと喜んでいます。(「自由について」も冨井さんのワークショップも館のブログでも写真入りで紹介していますので,ぜひご覧ください。)

まだまだ残暑が続きますが,涼みがてら美術館でひととき過ごされては如何ですか。

そこで一言。「コレクション展もお忘れなく!!」今回は虹色の靉嘔さんの向こうを張って,モノクロ特集です。コレクションもただ漫然と展示していたのでは,ちっとも面白くありません。ところが切り口を替えてみるとどうでしょう。白と黒のあいだで考えていくと,あるわ,あるわ。良寛さんの書も,水墨画も,ルドンのリトグラフも,抽象絵画も,牛腸茂雄の白黒写真だってそうです。靉嘔さんのレインボー・シャワーを浴びた後で,静かで内省的なモノクロの世界にひたってみるのも一興かもしれません。それほど美術の世界は幅広いのです。

 コレクション展,これからも企画展と連動したり,ユニークな視点で料理したり,工夫していきますのでご期待ください。コレクション展こそ,美術館の醍醐味,学芸員の腕の見せ所です。