館長ノート

「文化村さかいわ」のこと

少し前になりますが,6月中旬の去る土曜日の午後,西区の西新潟市民会館に行ってきました。西区在住の作家の皆さんのグループ「文化村さかいわ」のお招きで,「地域における公立美術館のあり方」と題する講演を行い,続いてパネル・ディスカッションに参加してきました。「文化村さかいわ」は,市美術館の所蔵品にもなっている作家の方々も参加するグループで,毎年この時期に「風美術展」という展覧会を開催,今年で16回目になるそうです。地域に根ざした文化運動で,今回拝見した展示もなかなかに質の高いものでした。

ちなみに今年に入ってから,2月に白根ロータリークラブで講演会,4月にはりゅーとぴあでダンス・カンパニー,ノイズムの芸術監督,金森穣さんと対談するなど,美術館の外で美術や美術館のことについて,市民の皆さんに直接お話しする機会に恵まれています。これも市美術館に対する注目と期待の表れと受け止め、そうした場に積極的に顔を出すことを心掛けています。

さて「文化村さかいわ」では、私がこれまでに勤務したいくつかの美術館で経験してきたことを紹介しながら、公立美術館のあるべき姿について、そして市美術館がめざす具体的なことがらについて,私なりの考えをお話ししました。新しい価値を「発見する美術館」、楽しく「学べる美術館」、訪れるたびに心躍る何かに出会える「生きている美術館」、市民同士、施設同士が「つながる美術館」等々、私が日々思いめぐらしている美術館論の一端をご披露したような次第です。幸い、私の講演、そしてその後のパネル・ディスカッションも大勢の方が参加頂き、熱心に耳を傾けて頂きました。会場からも美術館に対する率直な意見が相次ぎ、改めて期待度の高さを実感しました。本当に良い機会でした。

こうした機会を与えてくださった「文化村さかいわ」の皆さんに感謝するとともに、これからは理想をいかに実現していくかに心を砕いていきたいと,気を引き締めているところです。