館長ノート

「ラファエル前派展」、見どころ満載です。

リニューアル・オープンを迎えて、はや2週間が経ちました。いつの間にか梅雨も明けて、かっと照りつける日差しの下、美術館はまずまず順調なすべり出しというところでしょうか。
はるばるリバプールからやってきたラファエル前派の作品群。昨年夏に訪れた際、現地で実見しているものの、いざ展示室で梱包を解くと、その大きさと重さに思わずびっくり。最大の作品は、たて約3.2m、額縁も含めると4m近い水彩画、バーン=ジョーンズ作《レバノンの花嫁》。むき出しの画面保護のため、新潟で発注制作したアクリル・カバーで覆うことになり、その結果5mの天井高も窮屈に感じられるほど。この作品1点を展示するだけで、10人近い作業員総出で午前中いっぱい掛かってしまうほどでした。ボッティチェリを思わせる優美な女性像が織りなす大画面は必見です。
このほか、ミレイ、ロセッティ、レイトン、ムーア、ウォーターハウスらの大作が並びます。いずれも日本初公開。さまざまな象徴が散りばめられた画面は、ロマンティックな雰囲気に彩られ、見飽きることがありません。
リバプールというと、ビートルズばかりが有名ですが、どうしてなかなか名作絵画の宝庫でもあります。19世紀、海外交易、造船、海運などで繁栄を謳歌した港町リバプール。その富の蓄積が、これらのコレクションを形成したといっても過言ではありません。それは丁度、港町新潟が海外に向け開港し、美術館にほど近い勝楽寺に英国領事館が開設されていた時期とも重なり合います。そんな思いがけない歴史のつながりに思いを馳せるのも良いかもしれません。
暑い夏の一日、冷房の効いた涼しい美術館でラファエル前派の名画にひたってみてはいかがでしょう。

展示風景