館長ノート

目黒区美術館での「新潟市美術館の名品たち」展

工事休館中の美術館には当然のことながら、作品は展示されていません。収蔵庫で大切に保管されているわけですが、せっかくの機会なので現在、東京の目黒区美術館にまとめて貸出しています。ピカソやクレー、ボナールといった西洋絵画の名品から、日本の戦後美術、そして新潟の郷土作家まで、総数62点の出開帳です。副題は「有朋自遠方来(ともありえんぽうよりきたる)」。はるばる新潟からやって来た、新潟市美の作品を東京の美術館が心から歓待してくれているようで、なんとも嬉しいではありませんか。

草間彌生、阿部展也など、両館がともにコレクションしている作家については、新潟の作品と目黒の作品を隣り合わせて展示するという趣向も。久しぶりで旧交を温めているようで、ほのぼのした雰囲気が漂っていました。

私も4月初旬のオープニングに出席しましたが、普段見慣れた作品が当館で眺めるのと違って、どことなくよそ行き顔に澄ましているようです。絵というものは場所が変わると、随分と変わって見えるもの。落ち着かないような、誇らしいような、不思議な気分に襲われました。東京の美術ファンがどんな風に見てくれるのか、聞いてみたいような気がします。

今月29日には、美術館協力会の皆さんと「春の東京 目黒さんぽ」と称して、目黒区美術館と新装なった東京都庭園美術館を回ってくる予定です。展覧会は6月7日まで。まだ2週間以上を残していますので、おついでのある方はぜひ覗いてみてください。