館長ノート

牛腸茂雄展オープン、9月の新潟は写真の季節。

 

今年の夏は、猛暑の日もある一方で、ゲリラ豪雨に見舞われるなど,なんとなく不順な天候でしたが、気がつくともう9月。

「荒木経惟 往生写集 愛ノ旅」展も、はや1ケ月が経過。アラーキーさんが80年代の新潟を撮ったシリーズを長い時間をかけてご覧になる方が多く、どなたも懐かしそうに楽しまれています。

加えて、先週829日からは、アラーキー展に連動し、コレクション展として牛腸茂雄の特集展示が始まりました。牛腸茂雄(1946-83)は加茂市出身、しなやかな感性で街と人を捉えた写真で一世を風靡しますが、幼いころに患った胸椎カリエスもあり、36歳の若さで世を去りました。アラーキーより6歳年下の牛腸は、70年代という同じ時代を生きた者として感性のあり方、何の変哲もない日常にそそぐまなざしという点で、前者との間にある共通性があるように思います。もちろん挑発的でスキャンダラスなアラーキーとは一線を画し、牛腸の世界はどこまでも静かです。

額装した写真だけではなく、写真集のための原稿写真、デカルコマニーやマーブリングによる作品、さらには映像作品まで、牛腸の多彩な表現をご覧いただけます。アラーキー展とあわせ、思わず「新潟市写真美術館」と呼びたくなるほど。

また96日から1週間、新潟市内シネ・ウィンドでは、荒木が関わった映画《アラキメンタリ》、《愛の新世界》、牛腸のドキュメンタリ《SELF AND OTHERS》が特別上映されます。こちらも、どうぞよろしく。さらに、西大畑界隈の文化施設、砂丘館、新潟大学旭町学術資料展示館、安吾 風の館、北方文化博物館新潟分館などで、「新潟 写真の季節」と題し、写真展がめじろ押し。9月、新潟市美術館を起点に、写真の世界にひたってみてはいかがでしょう。