新潟市美術館ブログ

香月泰男展、閉幕間近!

11月27日(土)より開催しております『生誕110年 香月泰男展』の会期は残すところ1週間を切りました。

 

 

 

 

 

 

 

 

本展は山口県出身の洋画家・香月泰男(かづき・やすお)(1911-1974)の作品約150点を制作年順に展示し、画家の生涯にわたる画業を紹介するものです。

自身の太平洋戦争従軍とシベリア抑留の体験を描いた「シベリア・シリーズ」で知られる香月ですが、それ以外の作品も魅力があります。 例えば初期の作品。第一章・第二章では、東京美術学校(現・東京藝術大学)時代の作品や「シベリア・シリーズ」を本格的に描き始める前の作品を取り上げています。それらにみられる色使いや筆致からは、当時傾倒していたゴッホやゴーギャン、梅原龍三郎などの画法を取り入れながらも自身の作風を模索している様子がうかがえます。美術好きの方は、誰に影響を受けているかを考えてみるのも楽しいかもしれませんね。

 

 

 

 

 

 

 

 

また「台所の画家」とも呼ばれていた香月は、身近な動植物や台所の食べ物なども多く描いています。キュビスムの影響を感じる動物や植物、「シベリア・シリーズ」にもみられる黒と黄土色の表現で家族の日常を描いたもの、日本画風の構図で描かれたうなぎや大根などなど…。それらの表現も制作時期によって違いがみられます。「シベリア・シリーズ」以外の作品にも注目しながら、香月の表現における試行錯誤の軌跡をたどってみてはいかがでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解説が充実しているのも、みどころの一つです。「シベリア・シリーズ」全57点には、香月の自筆解説文が添えられています。作品を鑑賞しながら解説文を読んでみると、香月が見た状況やそのとき抱いた想いがひしひしと伝わってきます…。「シベリア・シリーズ」以外にも、各巡回館の担当学芸員による解説がところどころにあります。画家のバックボーンや技法について触れられているので、より深く作品を楽しむための手がかりになるかもしれません。あわせてお楽しみください。

 

 

 

 

 

 

 

 

『生誕110年 香月泰男展』は、1月23日(日)までの開催です。
画家として戦争体験と向き合い、表現方法を常に模索してきた香月による作品の数々。
美術館で本物をじっくりと味わい、香月の想いを感じてみませんか。
皆さまのご来館、お待ちしております。