新潟市美術館ブログ

「コレクション展Ⅱ 美術館で、山歩き」、開催中。

木々の葉が色づく季節となりました。美術館前の西大畑公園も紅葉真っ盛りの中、当館の常設展示室では「コレクション展Ⅱ 美術館で、山歩き」を開催しています。

 

 

 

 

 

所蔵品を山にちなんだ3つのテーマから紹介する本展は、常設展示室に入る前―「山の庭」が見える常設展示室前のロビー―から始まります。ロビーと展示室入り口に展示しているのは、新発田市出身の作家・大瀧直平の彫刻作品です。《仰臥像「立山」》は遠目から見るとまさに“山”のようですが、近づいて見てみると女性の身体を山に見立てて表現していることに気付きます。

このような作品からスタートする本展の最初のテーマは「これも山?」。峯孝の《裸婦》や建畠覚造の《CLOUD-26》は、一見すると山と関連がないように思われますが、作品を構成する要素―彫刻作品の一部である「地山」―や、表現―地図の等高線のような線の連なり―の中に「山」が潜んでいます。

また版画家・書家の林美紀子による《山》は、自身が書いた「山」という一文字を版画にした作品です。これらの作品からは、山をそのまま描いた風景画とはまた違った「山」の姿が見えてきます。

 

 

 

 

 

続いてのテーマは、「日本/新潟の山」。ここでは、津川の風景を描いた新潟市出身の作家・笠原軔 の作品を中心に、横山操や岡本唐貴、安宅安五郎などの描いた「山」が並びます。油彩や岩絵具、淡墨など、様々な画材によって描かれた「山」は、空や雪などの表情も多種多様です。ぜひそれぞれの画家による表現の違いにも注目してみてください。

実在する山を描いた作品のキャプションには、その山のある都道府県を明記しています。自分が訪れたことのある山や、これから行って見たい山などを探してみたくなりますね。

 

 

 

 

 

そして最後のテーマである「雄大なる山」では、画面に収まりきらないほどの山の威容や、山とともに生きる人々の習俗を描いた作品を取り上げています。

例えば、東北から新潟県北で行われている古い習俗の「またぎ」を描いた小島丹漾の《またぎの祭り》や、奥に弥彦山が見える越後平野の風景を描いた横山操の《茜》などなど…。山にまつわる様々な「風景」からは、人々を惹きつけてきた山の魅力を改めて感じられます。

なお、六曲一双の屏風に描かれた大作・青山亘幹の《流れ―奥入瀬》は11月18日(木)までの展示となります。こちらは11月27日(土)より三輪晁勢の飛騨や八ヶ岳などを描いた水彩スケッチに変わりますので、お見逃しなく!

 

 

 

 

 

また本展では、山小屋などにある自由に書き込めるノートにならって、「山ノート」を設置しています。

ぜひ山の思い出を綴ってみてくださいね。

 

 

 

 

 

「山」を色々な観点から楽しめる本展は、2022年1月23日(日)まで開催中です。

皆さまのご来館、お待ちしております。