新潟市美術館ブログ

「式場隆三郎:脳室反射鏡」、お見逃しなく!

8月8日(土)より開催の「式場隆三郎:脳室反射鏡」。
会期は残すところ一週間ほどとなりました。

本展覧会は、現在の五泉市で生まれた精神科医・式場隆三郎(1898-1965)の芸術にかかわる活動を約200点の資料から辿るものです。今回はその中からヴィンセント・ファン・ゴッホにまつわる資料について紹介します!

まずはゴッホ研究の関連文献。式場は学生時代に雑誌『白樺』でゴッホを知り、精神科医としての研究を行いました。最初期の著書『ファン・ホッホの生涯と精神病』(1932)は、当時最先端のゴッホ研究の大作です。式場がこれほどの研究を行えた背景には、新潟医学専門学校(現在の新潟大学医学部)の中村教授の存在があります。中村教授は、式場のゴッホ研究に理解を示し、教室の予算でゴッホ関連の文献を収集することを許しました。そのため展示しているゴッホ関連文献には、新潟大学が所蔵するものが多くあります。是非注目してみてください!

次に取り上げるのは「ゴッホ複製画展」にまつわる資料です。式場は医学専門学校を卒業後も、ゴッホに携わる活動を行い、なかでも1951年に開催した「ゴッホ複製画展」は、多くの日本人が初めてゴッホの作品をみる機会となりました。本展では、そのとき展示された複製画を額やキャプションもそのままに展示しています。ちなみにキャプションは式場自身が手書きしたものです。ポスターや入場券などもあわせて展示されていますので、当時の展覧会の雰囲気を味わうことができるのではないでしょうか。

また「ゴッホ複製画展」では複製画以外にも、式場の著書の装幀を手掛けた芹沢銈介作の『ゴッホの遍歴図』や、ゴッホの主治医であるポール・ガシェによるゴッホの最期を描いたスケッチなどの貴重な資料も展示していたようです。こちらの2点も本展で見ることができます。お見逃しなく!

最後に式場のプロデュースしたゴッホ関連の工芸品についてご紹介!式場は1955年にベルギーで大規模なゴッホ展が開催される際、ゴッホの作品を文様としてあしらった工芸品を展示物として出品してほしいと依頼され、各地の工芸家たちに型絵染や漆芸、革工芸・磁器などの工芸品を作らせました。本展ではこれらの一部を展示しています。見どころは、その工芸品にみられる文様です。例えば、本展で展示されているワンピースの一つはゴッホの有名な作品《星月夜》を写して制作されたもので、プリントされている星はゴッホの描いた星と同じ模様をしています。また浴衣や法被には「ゴッホのイス」がモチーフとして取り入れられています。どの作品がモチーフになっているのか考えながら鑑賞するのも楽しいかもしれません!是非探してみてください。

そんな見どころ満載の本展は、9月27日(日)まで開催中です。
芸術の秋に新潟出身の文化人の生きざまに触れてみてはいかがでしょう。
皆さまのご来館をお待ちしております!