ベン・シャーン展、お見逃しなく
6月16日(火)より開幕しました「丸沼芸術の森所蔵 ベン・シャーン展」。閉幕まで残り2週間を切りました。
本展は、埼玉県の「丸沼芸術の森」が所蔵する、アメリカの画家ベン・シャーン(1898-1969)の作品から約170点を紹介する展覧会です。
ベン・シャーンは1930年代から60年代のアメリカ社会において、「わたしは憎むものを描く。わたしは愛するものを描く。」という姿勢で社会的事件に目を向け、制作を続けました。その中でシャーンは社会における「良い」人物や出来事だけでなく「悪い」人物や出来事も描きました。例えば、1954年にビキニ環礁で行われたアメリカの水爆実験。第五福竜丸事件を取り扱った《ラッキードラゴン》シリーズにおいて、シャーンはこの水爆により被ばくした船員たちの苦しみを表現しました。これらの作品から、シャーンは自分の国の立場からではなく、事件の当事者の境遇に寄り添った視点で制作を行っていたことがうかがえます。このようなシャーンの社会に対する眼差しは、昨今話題になっているBLM運動などの人種差別を反対する社会運動にも通じるものがあるのではないでしょうか。
そんな社会派な面もシャーンの魅力の一つですが、作品における線描の筆致や、描かれる人物の表情も見どころです!デフォルメされた人物の肖像などはシュールでありながらもどこか愛らしさを感じます。かわいいものやゆるキャラが好きな方もお楽しみいただけると思います。
またシャーンは新潟出身の画家・写真家の阿部展也とも親交があり、その交流についても本展で紹介しています。シャーンが阿部展也に贈った《ペンを持つ手》は当館の新収蔵品です。こちらも是非注目してみてください。
本展は、企画展示室にて7月29日(水)まで開催中。お見逃しなく!