新潟市美術館ブログ

コレクション展ⅡLANDSCAPE好評開催中です!

1017日(水)から市展後期が始まっていますが、常設展示室ではコレクション展Ⅱ「LANDSCAPE:水土の作家×NCAMコレクション」(~12/2)が好評開催中です。

新潟市美術館の所蔵作品のうち、水と土の芸術祭へ出品歴のある作家を中心に、作家たちそれぞれの目線で切り取られた新潟の「風景」をご紹介しています。

新潟の風景と聞いて、どんな想像がふくらむでしょうか。
田園風景や豊かな自然の様子や、もしくは雪深い様子や荒波が打ち付ける海岸が思い起こされるかもしれません。

展覧会を入った最初の部屋には、水土出品作家の吉原悠博(ゆきひろ)さんによる映像作品《培養都市2018》を中央に展示しています。日本地図が映し出された後、東京の美しい夜景から始まるこの作品は、各地の鉄塔や高圧線を巡りながら、だんだんと新潟へと近づいてきます。最後に行き着くのは、柏崎刈羽原発。作者がとらえたのは、風景の中には直接見えない、電力による都市間の相関関係でした。そこには、経済的な依存関係や日本社会の構造も透けて見えてきます。

同じ部屋には、オランダの画家アルマンドの《梯子》も。一見して梯子とわかるシンプルな作品のように思えますが、上へとのびる梯子、そこには画家が幼い頃に経験した暴力の記憶が込められていると、展覧会のキャプションから知ることができます。再び作品を見ると、筆致や色使いが胸に迫ってくるようです。

風景を見つめるのは私たち人間で、人間の視点には、思いや記憶、経験などが入り込んでしまうものです。先にあげた田園風景や雪景色を思い起こすときも、その時間や場所、季節、誰といたか、どんな風に思ったのか、そうしたたくさんの事柄が一緒にあふれ出るのではないでしょうか。

《培養都市2018》での吉原さんの「電力」「経済」といった視点、《梯子》でのアルマンドの「幼い頃の経験」「恐ろしい感情」といった視点。それらは風景を作品として表現していく重要な要素になっています。

この他の作品も、作者の独自の視点で風景を切り取り、多彩な表現で作品に表されています。ぜひ、作家それぞれの視点と表現を味わってみてください。

最近はぐっと寒くなり、夏から秋、そして冬へと目まぐるしく変わっていくこの季節、変わりゆく「風景」をより楽しめるようになる展示です。

同時開催の市展会期は1021日(日)まで。そのあと22日(月)~112日(金)は全館お休みになります。113日(土)からはピカソ展も始まります。

企画展と一緒にコレクション展も、どうぞお見逃しなく!