館長ノート

「ルルル」の春

今年度最初の企画展、「サザエさん!展-長谷川町子とその時代」がオープン、10日が過ぎました。連休を通じ、毎日大勢のお客様にご来場いただき、まずは好調な滑り出し。とても楽しい展覧会に仕上がり、これについては稿を改めて触れることにして、今日はミュージアム・ショップについて書きたいと思います。

さて、これまで新潟市美術館には常設のミュージアム・ショップがありませんでした。「いや,確かあったはずだ」とおっしゃる方もいらっしゃるかも知れませんが、お客様の入りそうな展覧会に限って特に業者さんなどにお願いしてお店を出してもらっていたというのが実情でした。テート・モダンにしても、メトロポリタンにしても、欧米の美術館はエントランスを入ってすぐのところにドーンとショップスペースが広がっていて、そこを覗くのがいつも楽しみなのですが、最近は国内の美術館もだんだんとそのあたりを意識するようになってきて、おしゃれなショップはいまや気のきいた美術館には欠かせぬ存在です。そのことを思うと、新潟市美術館ではちょっと残念な状態がずっと続いてきたのですが、このたびやっとショップがオープンする運びとなりました。

ショップの運営を引き受けてくれたのは、上古町のクリエーター集団、ヒッコリー03トラベラーズさん。エントランス受付脇のコーナー、手作りの商品陳列台にオリジナルなグッズやサザエさん関連のグッズが並ぶ店づくり。まるで春風が吹き込んできたよう。一気に館内が明るくなりました。思わず浮き浮きと、用もないのにあたりをうろうろしてしまいます。

店名も軽やかに「ルルル」。美術館の新しい運営方針、「発見する美術館」、「学べる美術館」、「生きている美術館」、「つながる美術館」と続けてみると,確かに「る」がある。そこから発想したとヒッコリーさん。ちょっぴりゆるくて、カワイイ名前です。

ちなみにショップのロゴはオリーブ色と明るいグリーンの8の字のかたちが三つ連なるというもの。実はこの8の字マーク、美術館のガラス面に衝突防止の役割も兼ねて、描かれていたもの。私たちは気にも留めずに見すごしていたのですが、ヒッコリーさんの外からの新鮮な眼が「発見」してくれたのです。

今度美術館にお出でかけの際は、是非「ルルル」を覗いてみてください。きっと、「ルルル」な気分になること間違いなし。そして、ガラス面の8の字にもお忘れなく、注目を。