出前美術館@潟東西小学校
9月27日の「出前美術館」では、書家の菅井甚右衛門・哲(すがい じんえもん てつ)先生にお供し、新潟市立潟東西小学校にお邪魔しました。
まず、菅井先生の作品を、会場のホールに展示しました。天井の高い部屋でしたので、先生の大作にはうってつけ。迫力のあるインスタレーションになりました。集まった児童たちは、「なんだこれー!」と大騒ぎ。
今回のプログラムは、菅井先生の作品を見ながらのレクチャーから。文字の成り立ち。遠くゴビ砂漠まで文字の起源を訪ねた旅のこと。そしてピカソの『ゲルニカ』を例にとって、芸術家としての情熱や努力についてなど、熱っぽく語る先生。20人の5・6年生たちは、みんな先生に向かってまっすぐ顔を上げて聞き入っていました。
その次は、菅井先生のパフォーマンスです。畳大の紙いっぱいに、一つの文字を大書します。先生が持ち出した大きな筆を触らせてもらった児童は、「でかい」「重い」と驚いていました。その筆にバケツの墨をたっぷり含ませて、「行くぞ!」と一声。パフォーマンスの始まりです。
みんなが息をつめて見守る中、筆が紙をこする音だけが響きます。その静かさを破ったのが、先生の「ウッ」「オッ」という気合いがあふれだしたような唸り声でした。完成した作品に、みんなが大拍手です。
次は児童の番でした。いつもの書道の時間とは違って、今日は歯ブラシやスポンジ、それに指も使って、絵具で色画用紙に自分や家族の干支を象形文字で書きます。先生は忙しく児童の間を周って、「もっと色を使っていいぞ」「もっと自由に書け」とアドバイスしたり励ましたり。
あっという間に、たくさんの作品が並びました。どれも楽しんで書いた様子が伝わるものばかり。「講評会しよう」「質問ないか」と声をあげる先生の周りに、児童たちが集まります。「どうして書をやろうと思ったんですか」「これまでうれしかったことはなんですか」などなどのストレートな質問に、正面から答える菅井先生。
帰りまぎわ、担任の先生から「みんな、もっとやりたいって言ってましたよ」と伺いました。菅井先生の情熱と迫力に、私たちスタッフも感激した出前美術館でした。熱心に参加してくれた潟東西小学校5・6年生のみなさん、当日までこまやかに応対してくださった教職員のみなさんにも、お礼申し上げます。