新潟市美術館ブログ

Nois(roo)mにNoism現る!

開催中の「ニイガタ・クリエーション」展。第三展示室には黒いカーテンがかかり,入口からいつもの展示室と違う雰囲気が漂っています。
靴を脱いで,リノリウムを敷きつめた床に足を踏み入れると,そこはまさしくNoismの部屋,その名もNois(roo)m(ノイズルーム)。
舞台美術,衣装や小道具,公演チラシやアンケートまで,Noismがこの10年間行ってきた公演で生まれてきた,ありとあらゆるものがここには詰まっているのです。
長年のファンにはこれだけでもたまりませんが,Noismは,過去の舞台を単純に再現することはしません。過去のものたちを使いながら,それらを自由自在に組み合わせ,この美術館でしか体験できない,新しい舞台・新しい時間を作り上げてしまったのです。

昨日,ここへふらりと訪れた,帽子をかぶった三人組のお客さま―会場を自由に行きかうその人々は,まさしくNoismメンバー。
舞台美術の中でじゃれあってみたり,なにか書いたり,寝転がったり,ボールチェーンのカーテンをすりぬけて速足で通り過ぎたり…
突然話しかけられてどぎまぎしてしまう人,思わず足を止めて動きに見入ってしまう人も。
鑑賞者と地続きの大きな舞台で繰り広げられているようでもあり,しまいにはたたずんで見物している人までも,登場人物のように見えてきて。
このNois(roo)mという装置の中では,ダンサーであれ,私たち鑑賞者であれ,みな主人公にもなりうるし,すべてが舞台上の出来事に変容していくのです。それはここに身を置くことでしか体験することができません。

劇場のように日時を定めた公演はありませんが,Nois(roo)mではこうして毎日,物語が生まれています。ときとして,予告なく,そこにNoismが姿を現すかもしれません。そして,次の物語を起こすのは,ひょっとして,あなた自身かもしれません。