「阿部づくし」のコレクション展Ⅳを、小学生が鑑賞
現在、当館の収蔵品をご紹介するコレクション展では、新潟県五泉市出身の画家・阿部展也(あべ・のぶや)を約170点の作品で大特集しています。同時開催中の企画展「あそぶ浮世絵 猫づくし」に対抗していうならば、まさに「阿部づくし!」です。
1月16日、市立潟東東小学校の3・4年生43名がオープンギャラリーで、「阿部づくし!」の鑑賞に来てくれました。
子どもたちは展示室に入ると、抽象的な表現が多いせいか「これは何!?」と、少し戸惑いつつも興味津々の表情。はじめに、ぐるりと作品が見渡せる展示室の中心に集まって、「どの作品が一番気になる?選んだ理由も教えてね」と問いかけてみました。
いろんな作品があがった中で、「形が変わってて、でこぼこになってるのが気になる」という作品を、そばに近づいて詳しく鑑賞。改めて、発見したことや感想を聞いてみました。
子どもたちは、「白いところはデコボコで、黒いとこだけ平ら」
「ニヤッと笑っている顔が描いてある」など、様々なことを発見。
「何が書いてあるかさっぱり分からない」と、率直な感想もでましたが、
話してくれるキラキラした笑顔からは、阿部作品を、かなり気に入ってくれているのが伝わってきました。
ある子どもから「どうやって描いてるの?」との質問が出て、せっかくなので、みんなに推測してもらいました。
すると、
「石を埋め込んでから描いた」
「彫刻刀で彫った」
「木の板の上に粘土を置いてから、絵具で塗った」
「黒いコンクリートを広げて、上から白い絵具を塗った」
などなど、次々に面白いアイデアが飛び出しました。
もし、阿部さんが聞いたら試してみたかもしれませんね。
実は、この作品には、蜜蝋と顔料を混ぜ合わせた蝋絵具を画面の上で溶かしながら描く技法、エンコ―スティックが使われています。
子どもたちにとっては思いもよらない制作方法だったようですが、同じ技法を使った作品と見比べながら、じっくりと画面の独特の質感を味わっている様子が印象的でした。
その後も、子どもたちは、みんなで阿部作品に繰り返し登場するモチーフを見つけたり、
各自で「気になる作品」からイメージを広げて詩を書いたりと、「阿部づくし!」を満喫。
短い時間でしたが、今回の機会を通じて、一枚の絵画から、たくさんのことを発見する楽しさを、学んでもらえたならと思います。