新潟市美術館ブログ

「サザエさん!展」最初のレクチャー好評

 「サザエさん!展」が初日を迎えた4月27日、株式会社エイケン制作部長の田中洋一さんをお招きして、アニメ「サザエさん」制作の現場についてのお話を伺いました。

 田中さんは、エイケン入社以来25年、長年にわたって「制作進行」という立場から、アニメ「サザエさん」制作のスケジュール管理を手がけてこられた方です。つまり、アニメ番組が世に放映されるまでの全ての工程について通じておられます。

 アニメ「サザエさん」の放送は、1969年に始まりました。来年には45周年を迎えるわけで、これほどの長寿番組は他にあまり例がないでしょう。さらに珍しいのは、このアニメ番組が、デジタル全盛の今も、手書きのセルアニメで作られていることです。

 田中さんのお話は、みんなが知っているサザエさんが、実は驚異的な技と努力によって制作されていることを、とてもリアルに伝えるものでした。

 どの話にも、少なくとも原作まんがのエピソードを一つは取り入れること。男女別に変えているキャラクターの肌の色は、エイケンならではの「特色」であること。絵コンテがセル画になるまでのプロセス。デジタル放送の高画質に対応するため、以前よりもいっそう手間をかけてセルを撮影していること。などなど。田中さんの穏やかな笑顔とていねいな語り口から、この困難な仕事に取り組む人たちの誠実さと情熱が伝わってくるようでした。これはもう、立派な日本の「伝統工芸」ではないか、とも思われました。

 会期中のレクチャーは、あと3本が予定されています。他では聞けないディープなサザエさん話、町子さん話の数々。まだまだお席には余裕があります。詳しくはこちらをご覧ください。

講演中の田中洋一さん

講演中の田中洋一さん