建築・周辺のご案内

建築について

 新潟市美術館は、1985年、隣接する西大畑公園とともに旧新潟刑務所の跡地を再開発して整備されました。指名設計競技を経て建物を設計したのは、新潟市出身の前川國男(1905〜1986)。巨匠ル・コルビュジエのもとで学び、日本の近代建築のパイオニアとして長く活躍した建築家です。

新潟市美術館の外観の大きな特徴となっている外壁は、前川國男が長持ちする建築を目指して独自に開発した「打ち込みタイル工法」によるもの。コンクリート壁にモルタルなどでタイルを接着する後張りの工法とは違って、コンクリートを打つ際に、型枠の内側にあらかじめタイルを釘止めし、コンクリートを流し込んで建物の躯体と一体成形する工法です。これによって、内部のコンクリートは、耐候性に優れた窯業素材のタイルにしっかり保護されると同時に、彫りの深い外壁の表情が生み出されます。新潟市美術館の外壁に選ばれたタイルの色は、オリーブ・グリーン。桜花、新緑、紅葉…移りゆく季節の風景に穏やかに馴染んで、歳月を経るごとにその風合いを増しています。

また、美術館前の道路から館内の展示室まで、約2メートルの高低差をゆるやかなスロープで誘う導線は、砂丘地の立地条件をさり気なく取り込んだプランとなっています。「建築は、その建つ場所に従え」というのは、前川國男の設計思想のひとつですが、ここにも、その具体的なかたちを見ることが出来るでしょう。

道路向かいの西大畑公園には、在りし日の柳都・新潟の堀割と柳並木が再現されていますが、4歳まで新潟で過ごした前川國男にとっても、その景色は幼心に焼き付いて離れなかった懐かしい「原風景」でした。前川の設計メモに記された砂丘、松林、堀割、柳は、多くの文学者によっても、繰り返し詩や歌に取り上げられた題材です。これら新潟情緒のシンボルが、この新潟市美術館と西大畑公園で一体となり、時を超えた安らぎを生み出しています。

新潟市美術館の建築は、1986年、優れた設計者、施工者、建築主の三者に対して表彰が行われる建築業協会賞(BCS賞)を受賞しました。前川國男の最晩年を飾る作品として、毎年、建築関係の研究者や学生が見学に訪れています。

平成26年10月から行った改修工事については『改修工事の概要』をご覧ください。


庭園

館の外周には、野外彫刻の展示場も兼ねたくつろぎの場として「海の庭」「山の庭」があり、散策を楽しむことができます。前庭には、現代日本の代表的彫刻家のひとり建畠覚造のステンレスによるモニュメント「ウェイヴィング・フィギュアー」の美しい姿を見ることができます。

周辺のご案内

西大畑公園

美術館の向かいには、かつての新潟の情緒を再現した「堀と柳」のある西大畑公園があります。
新潟市美術館と西大畑公園にある屋外アートの位置などを示した散策マップをご覧になって、どうぞ屋外アートと美術館・公園の屋外空間をお楽しみください。

「新潟市美術館・西大畑公園 屋外アート散策マップ」

周辺の文化施設

館周辺には、以下のような文化施設があります。(外部リンクです)

旧齋藤家別邸
安吾 風の館(旧市長公舎)
砂丘館(旧日本銀行新潟支店長宅)
北方文化博物館新潟分館
NSG美術館
マリンピア日本海
西海岸公園

西大畑・旭町かいわい(異人池の会HP)