館長あいさつ

ごあいさつ  2015年7月

 新潟市美術館は、約9カ月に及ぶ工事休館を経て、7月19日に待望のリニューアル・オープンを迎えました。工事中は市民のみなさまに大変ご不便、ご迷惑をお掛けしましたことお詫び申し上げます。
 1985年の開館から数えて30年目の今年。改修工事によって美術館はいったいどんな風に変わったのか、これからどんな方向を目指していくのか。

 改修工事最大のポイントは、老朽化した箇所の改修です。電気関係設備の交換や空調設備の拡充、屋上の防水、常設展示室照明器具のLED化など、美術品を展示し、安全に保管するという美術館の機能を考えたときに、まっさきに整備されなければならない事柄です。美術館の信頼度という点からは最優先事項にほかなりません。

 新潟市美術館は新潟が生んだ近代建築の巨匠、前川國男最晩年の作。忘れがたい印象を残す名建築といっても過言ではありません。そのことをリスペクトしつつ、時代の息吹を伝える何かを付け加えたい。そこで当館のロゴ、シンボルマークを手掛けたデザイナー、服部一成氏に依頼、館内外のサインを一新することと致しました。
 服部氏が出した解答は、白いフレームがひとつの層として立ち現れ、その内側に室名表示が和文と英文の読みやすいフォントで示されるというものでした。建築をなんら浸食することなく、美術館に新しい感覚が脈動し始めます。いわば建築の古典に生気を吹き込む、一種のスパイスです。両者の時代を隔てたコラボレーションは、建築とデザインの関係に一石を投じる画期的な試みになると確信しております。

 今回の改修で心がけたいまひとつのポイントは、美術館をもっと市民が気軽に楽しめ、くつろげる場にするということです。敷居が高いという印象がありがちな美術館。管理的でない、もっと明るい雰囲気が欲しい。たとえば、受付の位置をエントランス近くから突き当たりの奥まった場所に移動しました。カフェ奥の図書室は、ガラスの仕切りを取り払い、飲食も可能な、ひとびとが集える「ラウンジN」としました。2階講堂脇のスペースを開架式の自由に美術書が読める、「本のラウンジ」としました。そして、講堂は壁も床も明るいベージュ色に替え、小中学生の団体のガイダンス、ワークショップなど、多様な事業ができるようにしました。これらの工夫が美術館をもっと生き生きとしたものとし、ひとびとがつながる場となるであろうことを心から祈っています。

 新装なった美術館は新たなステージへと進み行きます。企画展、コレクション展、各種教育普及事業など、多彩なプログラムともども、ぜひご体験いただきたく、ご案内申し上げます。

2015年7月
新潟市美術館 館長
塩田純一

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